NGC Ch XF 5/5 5/5 古代アラビア ヒムヤル王国 ドラクマ銀貨 1世紀 AD

アラビア南部のヒムヤル王国（Himyarites）において、1世紀 AD 頃に鋳造された「ドラクマ」型銀貨です。ヒムヤル王国は、紅海貿易の要衝として栄えた「アラビア・フェリクス（幸運なるアラビア）」に位置し、サバ王国（Sabaean）などとの文化的・宗教的交錯の中で独自の貨幣制度を展開していました。

表面には人物の頭部が刻まれており、裏面には角を持つブクラニウム（horned bucranium：牛の頭蓋骨）が描かれています。このモチーフはおそらくサバ王国の宗教的・儀礼的象徴を取り入れたものであり、ヒムヤル王国が文化的に周辺諸国と密接な関係を有していたことを示しています。

この時代のアラビア半島は、ローマ帝国やペルシア帝国との交易ルート上に位置しており、本銀貨もそのような国際的文脈の中で発行された可能性があります。美術的・歴史的にも重要な意義を持つ一枚です。

第三者鑑定機関NGC（Numismatic Guaranty Company）によって真贋鑑定がなされており、Ch XF（Choice Extremely Fine）グレード。打刻・表面状態ともに5/5という極めて優れた評価を得ており、保存状態も申し分ありません。

アラビア古代文明とその宗教・文化的融合を今に伝える、非常に貴重な貨幣です。

2401488-005
c.1st Century AD ARABIA FELIX, HIMYARITES AR 'Drachm'
Ch XF Strike: 5/5 Surface: 5/5
obv head rv horned bucranium (perhaps Sabaean)