NGC Ch XF 4/5 4/5 古代ギリシャ イオニア 不明鋳造所 ヘクテ金貨（1/6スターテル） c.600–550 BC

紀元前600〜550年頃にイオニア地方の不明な鋳造所にて鋳造された、エレクトラム（自然合金）製のヘクテ（1/6スターテル）です。貨幣制度が黎明期を迎えた古代ギリシャ世界において、貴金属による小型通貨の発展を物語る重要な作品の一つといえます。

表面には左右対称に配置されたライオンの頭部（lion heads）が刻まれ、当時の動物表現に見られる象徴性と装飾性を兼ね備えたデザインとなっています。裏面には精緻な装飾パンチ（ornate incuse punch）によって、様式化された背中合わせの人物像（schematic back-to-back figures）が表現されており、抽象的ながら強い視覚的印象を与える構成です。

このような貨幣は、単なる決済手段にとどまらず、都市の権威や文化的アイデンティティを示す象徴としても用いられました。特にイオニア地方では、鋳造技術や図像表現において高い水準が見られることが特徴です。

第三者鑑定機関NGC（Numismatic Guaranty Company）により真贋鑑定済みで、Ch XF（Choice Extremely Fine）グレード。打刻および表面状態ともに4/5と、保存状態も優れています。

貨幣制度初期における美術性と機能性の融合を示す、極めて興味深い一枚です。

4538420-001
c.600–550 BC IONIA, UNCERTAIN MINT EL Hekte (1/6 Stater)
Ch XF Strike: 4/5 Surface: 4/5
obv lion hds. rv ornate punch obv schematic back-to-back